組合では意向調査結果の公表を要望しています。
学長選考理由の公表に関する声明『意向調査の結果公表を通して公正な学長選考を確保しよう!』(2017.5.8)
学長選考理由の公表に関する声明
意向調査の結果公表を通して公正な学長選考を確保しよう!
2017年4月からの岡山大学の学長を選考するため,2016年10,11月に学長選考会議による学長選考が行われました。今回から学長選考会議による候補者のヒアリングを公開で行ったり,学内の意向調査を行ったりと新しい試みをなされ,岡山大学職員組合もその点は評価するところです。
しかし,最終的に公表された学長選考理由が非常に形式的で,学内意向調査の結果の公表もありませんでした。この点を岡山大学職員組合は問題と考え,2度にわたり学長選考会議宛に学内意向調査結果公表の要望書を出しましたが,通り一遍の回答しか得られませんでした。このことを岡山大学職員組合は非常に遺憾に思い,ここに声明を発表するものです。
選考理由を明確にせず岡山大学への期待も示さない学長選考会議
意向調査の結果の公表を要望する私たちの第一回目の要望書に対し,学長選考会議は「意向調査の結果をそのまま公表すると,あたかもそれが選考に直結するような誤解を生み,無用の混乱を招く恐れがある」と回答しました。とても奇妙な回答です。例え選んだ学長が意向調査の結果一位と同じ人であったとしても,学長選考会議での議論の経過を同時に公表することで学長選考会議が密室性の弊に陥ることなく主体的に選んだことが明白になるでしょう。そのことによって学長選考会議が岡山大学にどのような方向性を望んでいるかも全学に明らかになると思われます。今回の学長選考会議の回答はかえって学長選考会議ではきちんとした議論をしていないのではないかとの疑問を抱かせるようなものになってしまっています。
私たちはその点を指摘して二回目の要望書を出しました。しかし,その回答は全く前回と同じことしか言っておらず,誠意の感じられないものでした。
意向調査の結果を意向調査に参加した人々に公表するのは当然のことです。通常,実施した調査やアンケートはその結果をなんらかの形で公表します。岡山大学職員組合が実施するアンケートでも必ずなんらかの形で結果を公表しています。今回意向調査の結果を全く公表しない学長選考会議の態度はグローバルな常識からも外れたもので,学長選考会議の見識そのものを疑わせ,信頼を損ねるものであると考えざるを得ません。そのようなことを続けるなら,今後意向調査に協力する人が減り,学長選考に対する学内の関心も薄れていきかねません。それは長期的には大学運営の観点から言って非常に問題です。
国立大学法人法の改正により,意向投票による学長選考ではなく,学長選考会議が学長選考を行うようになりました。学長選考会議で学長を選ぶという国の方針自体に組合としては反対であり,現在の枠組みを容認するものではありません。しかし,現実問題として学長選考会議の責任は大きくなっており,それを果たすことが学長選考会議には求められていると考えます。けれども現在の岡山大学学長選考会議の態度は従来のものと変わらず,責任を十分に果たしているように見えません。
情報開示とそれに基づいた議論が知の基本
大学は主に教育・研究を行うところです。
研究には自主性が必要です。素晴らしい研究は必ず研究者個人に動機があり,研究者個人の意欲に支えられています。他人から与えられた研究テーマや研究方法ではよい研究成果は産まれません。
教育も同じです。結局のところは教育を行う人に熱意と情熱がなければうまくいきません。教育にも教育者の裁量の余地,すなわち自主性が必要です。そのことは多くの人が経験として知っていることです。
つまり大学は,本来,十分な自由と裁量を与えられた自主的な人々が集う場所なのです。
自主的な人々をまとめようとするならば,十分な情報を開示し,同じ土俵に立って議論をすることが不可欠です。議論を通じてみなが納得することではじめて協力して活動することができるのです。しかし,今回の学長選考会議の態度はみなを納得させる気がないと思われても仕方がないものと私たちは考えます。
誤解していただきたくないのですが,私たちは学長選考の結果に異議を申し立てているわけではありません。私たちが問題にしているのは学長選考会議が意向調査の結果を公表せず,学長選考理由の詳細を公表していない点です。
大学の学長を選ぶにふさわしい選考過程とその公表を
学長選考に限らず,大学内のさまざまな問題に対し,いろいろな意見があるのは当然です。それに対し十分に情報を開示し議論することによって一致点を見出すのが知の基本です。大学が知の基本をないがしろにするようでは大学の未来はありません。
学長選考会議には「大学の学長を選ぶ」という自覚を持っていただきたいと考えます。
2017年5月8日
岡山大学職員組合連合体執行委員会
学長選考会議の回答(2017.3.15)
3月6日に組合より提出した学内意向調査の結果を含めた次期学長選考理由公表についての要望書に対し,3月15日に学長選考会議から下記の通り回答がありました。
岡山大学職員組合
執行委員長 高橋裕一郎 殿
国立大学法人岡山大学学長選考会議
議長 泉 史博
学内意向調査の結果を含めた次期学長選考理由公表についての要望書について(回答)
2017年1月11日付け岡大職組申第95号で要望のありました意向調査の結果公表について,次のとおり回答します。
2017年3月1日付け岡大職組申第96号で要望のあった学長選考理由の詳細な公表につきましては, 2016年11月21日の岡山大学長適任者決定の際の公示に記載しております選考理由がすべてであり, これ以上のものはございませんので, ご了承願います。
再度,意向調査の結果公表を求める(2017.3.6)
岡山大学職員組合では,1月23日の大学からの回答を受けて,再度以下の要望を学長選考会議に対して3月6日に提出しました。
2017年1月11日付け岡大職組申第95号に対する回答をありがとうございました。しかし,その回答内容に納得しかねる部分がありますので,再度要望させていただきます。
回答の中で「学内構成員による意向調査の結果をそのまま公表すると,あたかもそれが選考に直結するような誤解を生み,無用の混乱を招く恐れがあるため」「学内意向調査の結果(各学長候補適格者の得票数など)を公表しない」とありますが,学長選考理由を丁寧に説明すればその心配はないと考えます。もし無用の混乱を招くとすれば,それはそもそも今回公表された学長選考の理由の説明が簡潔すぎるからではないでしょうか。
今回,国立大学法人法改正に伴い学長選考の方法が従来から変更になった際,新しい学長選考方法についての説明会が2015年10月に行われました。10月28日に行われた津島地区説明会において当時の学長選考会議学長選考方法検討 WG 議長は次のように説明したということが参加者のメモから明らかになっています。
質問:意向調査の結果は公表するのか?
回答:公表するが,具体的にどこまで公表するかはこれから議論。×をつけられた数などは公表しないと思う。
質問:最終的な学長選考結果の公表ではどこまで理由等が公表されるのか?
回答:選考過程の透明化がこの新案のコンセプトなので現在のものより理由が詳しくなるのではな いかと思っている。
それに対し,実際に今回の選考過程と選考理由の説明は2016年11月21日付山陽新聞ウェブサイトでは以下のようになっています。
『初めて導入した学内向け公開ヒアリング,講師・課長級以上の教職員を対象とする意向調査結果などを踏まえ,賛成多数で槇野氏を選んだ。』
『津島キャンパス(岡山市北区津島中)で会見した選考会議の泉史博議長(中国銀行相談役)は「十分な実績を持っており,大学のさらなる発展が期待できる」と選考理由を述べた。』
前回の学長選考過程と理由の説明は 2011 年 12 月 1 日付山陽新聞朝刊によると以下のようでした。
『教職員らによる学内意向投票の結果を参考に,森田氏を全会一致で学長適任者に選んだ。』
『選考理由について本田茂伸学長選考会議議長は「教育,研究のみならず大学病院長としても優れた実績を挙げてきた。岡山大をさらに力強く飛躍させてもらえると判断した」と述べた。』
この二つを読み比べて今回の選考理由説明の方が詳しいとは到底思えません。また前回は意向投票の結果も合わせて公表されましたが,それによる誤解も混乱も特になかったと記憶しております。
国立大学法人法の改正により,学長選考会議の権限と責任はこれまでより大きくなりました。学長選考会議は,学長選考方法変更の趣旨に則り,意向調査の結果も含めて学長選考の理由の詳細を明らかにする責務があると考えます。他の候補者(阿部氏,荒木氏,山本氏)ではなく槙野氏を次期学長に選ぶにいたった議論の概要と最終的な選考理由の詳細を明らかにすることが学長選考会議の主体性を示すことであり,またそれなしにして学長選考会議の主体性を示すことはできないと考えます。
次期学長を選考した際の議論の内容と詳細な選考理由を,意向調査の結果も含めて公表することを求めます。
学長選考会議の回答(2017.1.23)
1月11日に組合より提出した意向調査結果の公表を求める要望書に対し,1月23日に学長選考会議から下記の通り回答がありました。回答は,結果公表を差し控える内容のもので,岡山大学職員組合では今後の対応を検討しています。
岡山大学職員組合
執行委員長 高橋裕一郎 殿
国立大学法人岡山大学学長選考会議
議長 泉 史博
学長選考における学内意向調査の結果公表に関する要望について(回答)
2017年1月11日付け岡大職組申第95号で要望のありました意向調査の結果公表について,次のとおり回答します。
平成27年4月の国立大学法人法改正に伴い,今回の学長選考から,学長選考会議が学長選考基準を明示したうえで,より主体的に選考を行うこととなりました。
このことに対応する趣旨で,学長選考基準を定め,選考方針,選考手続及び日程と合わせ公表し,学長選考会議が,書類審査及び公開ヒアリングをとおして,学長候補者の学長としての資質と能力を,同基準に照らして判断することとしました。
それに併せて,意向調査においても投票から,調査に変更するなど学長選考方法を改訂したところです。 また,公開ヒアリング実施に先立ち,パブリックコメントにより学長候補者への質問内容を求めるなど,選考過程の可視化にも努めて参りました。
そのような状況の下,学内構成員による意向調査の結果をそのまま公表すると,あたかもそれが選考に直結するような誤解を生み,無用の混乱を招く恐れがあるため,あくまでも学長選考会議による選考過程の参考として扱うこととしました。
このようなことから,その結果の公表につきましては,平成28年11月21日の学長適任者決定の公示において,選考理由の中でその旨を説明した次第であります。
以上により,今般,ご要望のありました学内意向調査の結果(各学長候補適格者の得票数など)の公表は差し控えさせていただきたく存じます。
意向調査の結果公表を求める(2017.1.11)
次期学長適任者の選考結果が発表されましたが,昨年までの意向投票で公表されていた投票結果が,今回の意向調査では公表されていません。意向調査の結果がそのまま学長選考結果に直結するものではないことは承知していますが,それであればなおさらのこと意向調査の結果を公表する必要があると考えます。そこで岡山大学職員組合では以下の要望を学長選考会議に対して1月11日に提出しました。
学長選考会議御中
この度の学長選考へのご尽力に敬意を表します。
さて,国立大学法人岡山大学長適任者の選考結果等について,平成28年11月21日付けで,国立大学法人岡山大学学長選考会議から発表,公示されたところですが,いまだに,学内意向調査の結果については公表されていません。
投票に参加した者としては,その結果について知ることは当然の権利であると認識しております。意向調査の結果について公表されるよう切に要望いたします。賢明なご判断をお待ちしています。